もしも過去の自分に戻れたら。
そんな「もしも」の能力を持った主人公が
凶悪事件の真相を暴くため過去と未来を奔走する
SFサスペンス作品です。
ハラハラドキドキの展開はもちろん自分の子供時代を思い出して
ノスタルジックな気分も味わえます。
緻密な構成と張り巡らされた複線がつながる瞬間にシビれます。
ミステリー好き必読ですよ。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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僕だけがいない街のあらすじ
主人公・藤沼悟(ふじぬまさとる)は28歳の売れない漫画家。
思うような作品を描けず出版社に持ち込んでも
結果が出ず苛立ちを抱えています。
生活費を稼ぐためのピザ店の配達のアルバイトの途中
自分の心臓の音がひときわ大きく聞こえました。
この感覚は周囲のどこかに違和感の元がある前兆で
それは対処しないと大変なことが起こると悟は「知って」います。
走行中のトラックの運転手が「違和感」の元だと突き止めた悟は
横断歩道を渡ろうとする児童を呼び止めて別の信号を渡らせて
配達用のスクーターで蛇行を始めたトラックを追跡します。
僕だけがいない街
白目をむいて意識を失っている運転手に声をかける悟でしたが
対向車にはねられて意識を失います。
病院で目を覚ますとベッドサイドにはアルバイト仲間の
高校生・片桐愛梨(かたぎりあいり)の姿がありました。
愛梨は事故現場に居合わせ悟が子どもを助けたところも見ていました。
愛梨に対して特に興味のない悟でしたが
も見舞いに着てくれた手前ないか話さなければと
社交辞令として「なんでアルバイトしてるの?」と質問します。
自分には夢があると答える愛梨の言葉に懐かしさを覚える悟でした。
外傷も後遺症もなく無事退院できた悟でしたが
この後最悪の事件に巻き込まれることになります。
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僕だけがいない街のネタバレ
悟には「リバイバル」と自分で呼んでいる特殊能力があります。
それは過去の自分に乗り移ることができる
いわゆるタイムリープ能力です。
事故を未然に防いだのも実はこの「リバイバル」を使ったおかげでした。
ある日悟の母親が何者かに刺殺され悟は犯人に仕立てられます。
逃亡生活を始める悟は母親を殺した真犯人は自分の幼少期に身の回りで起きた
未解決の連続殺人事件の犯人ではないかと推理し普段はほんの数分程度の
タイムリープを自分の幼少時代まで遡って行います。
15年前への「リバイバル」に成功し故郷の北海道での少年時代に戻った悟は
真犯人を見つけるため殺されるはずのクラスメイト雛月加代(ひなづきかよ)を
友達のケンヤ・ヒロミと一緒に守り抜きます。
僕だけがいない街
真犯人は悟たちの担任教師の八代だと突き止めますが
八代の罠にはまり冬の湖に沈められてしまいます。
悟が目を覚ますと病院のベッドの上。
その横には泣き崩れる母親の姿がありました。
湖に落ちてから15年間植物状態で眠ったままだったことを聞き
驚愕する悟でしたが日常を取り戻すべくリハビリを始めます。
大人になった加代・ケンヤ・ヒロミとも再会し
弁護士になったケンヤは悟を湖に落とした真犯人を
密かに追っていることを明かします。
悟を見つめる怪しい人影の正体は?
そして悟たちは八代の犯行を止めることができるのでしょうか?
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僕だけがいない街の感想
先の展開が読めずドキドキが止まりません!
「リバイバル」は過去に戻ってものごとを修正することができる能力ですが
必ずしも良い結果に結び付くとは限らずむしろ悪化していることもあります。
その元の時間軸に戻ったときの結果がどうなっているのかがドキドキします。
氷の湖に沈んだあと目覚めたら15年間寝たきりだったって
想像するだけで恐ろしいです。
そんなスリリングでサスペンスフルな展開が魅力の本作ですが
私は冒頭からエンディングまでの主人公・悟の成長と変化も
大きな見どころです。
僕だけがいない街
現実(冒頭)の悟はそこそこの成功体験はあるものの
自己実現には至らない満たされていない若者です。
自分自身と向き合うことを恐れて自分の描く作品に
深みが足りないという事がスッキリしない元凶です。
悟は「リバイバル」を使った少年時代から続く凶悪事件の解決を通して
人付き合いの苦手さや成功できない理由を克服し
人間として成長することができました。
そんな悟の目を通して過去と向き合い対決することの大切さを
読者に訴えかけているのではないでしょうか?
現在の自分がわだかまりを感じていることは
過去の出来事に由来するということがほとんどで
それと向き合うことは「凶悪事件を解決」するより
困難で勇気がいることだと思います。
過去と戦う全ての人の背中を押してくれる作品だと私は思います。
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